5月に入り、世間的にはゴールデンウイーク後半のようですが、
今いち天気がぱっとしませんね。
晴れたら自宅の外壁、杉を使っている部分にクレオトップ(だと思う)を
塗りたいと考えてますので、
何日間かはさっぱりと晴れてほしいところです。
さて先日、有限会社の役員変更登記の依頼がありました。
まずは法務局に登記されている内容を確認するため、
登記情報提供サービスにより当該会社の登記事項を請求してみました。
ところ、会社の本店が「秋田県※※字二夲柳※※○番地○」となっていたのです。
一見するとまともに見えますが、よく見ると違和感のある字が…
『二夲柳』?
二本柳の『本』がなんか変だな…
拡大して見ると『二夲柳』
微妙に『本』ではありません。
なんでわざわざこんな似たような字を使っているんだろう…
ここでこの字の対応策について考え込んでしまいました。
といっても数分程度ですが。
まず、
1、依頼は役員変更登記ですので今の字の違いは気づかなかった、
もしくは無視して登記を進める。
2、徹底的に調査する。
この2択。
1の場合の利点は、依頼者の依頼内容通りに業務が終了するのであって
微妙な一文字に関わらずに済ませられるのであれば、
それにこしたことはないのではないか。
1の場合のダメな点は、この一文字が違うために本店を「二本柳」と登記申請
した場合、登記されている字でないため法務局から補正するように言われる
可能性がある。(実際は言われないとは思いますが)
更に、今回訂正しなければこの会社の本店の「二本柳」はずっと『二夲柳』
のままである。
そんで2だろうと。
司法書士法の第2条(職責)によると、
「司法書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、
公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」とありますし。
2の場合原因として考えられることが3つばかりありました。
2-1 1つは昔の登記簿(簿冊形式)から現在のコンピュータ化するため
登記簿を移記する作業において法務局で間違えた、
いわゆる『移記ミス』といわれるもの。
2-2 そもそもこの会社の申請(設立登記時)が『二夲柳』で申請して、
法務局では申請に基づいて登記の処理をしてしまった。
2-3 実は、この場所は「二本柳」ではなく正式には『二夲柳』である。
こうなるとやってることは、司法書士業ではなく探偵業に近い感覚を覚え、
「名探偵コナン」や「シャーロック」並みの推理を働かせました。
以上のうち、もし、2-2だと非常にやっかいで、本店を訂正するのに更正登記が
必要となり、登記申請時の印紙代(登録免許税)だけで2万円もかかってしまいます。
『二夲柳』を『二本柳』に訂正するだけで。
厳密に言うと『夲』を『本』に直すだけで。
と言うかちょっと棒を伸ばすだけで。2万円です。
(なんか釈然としません)
その後、依頼のあった有限会社さんに現在の登記事項の本店が『二夲柳』で
登記されていることを説明し、実際の地名は『二本柳』で間違いないことを確認し、
会社の昔の謄本はどう登記されていたか確認したい、としたところ、
会社に昔の謄本は存在しないことが確認されたため、秋田地方法務局に
昔の謄本(コンピュータ化前の閉鎖謄本)を取得する了解をとり、
取得して確認したところ、
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昔の謄本上はどう見ても『二本柳』。
これは、疑いようのない移記ミスだと確認でき、法務局に移記ミスがある旨
連絡をし、来週役員変更登記を申請予定だとして、法務局で職権により更正
する確約をとり、その後、無事依頼のあった役員変更登記も完了。
そして…
完了後の会社の謄本(履歴事項全部証明書)を取得してみたところ、
会社の本店は何事もなかったかのように『二本柳』になっており、
法務局の職権更正により『二夲柳』の文字は跡形もなくなっていました。
どうしたらいいか逡巡し、(司法書士法第2条に基づき)職務を全うした結果が…
普通に訂正されていた、という。なかなかマニアックな世界ですね。
登記の世界は。