伊藤博之事務所ブログ

秋田県能代市の司法書士/行政書士 伊 藤 博 之 です。令和3年には『土地家屋調査士』も登録。人口減少率日本最大の地方を舞台に、士業のONとOFFを綴るブログ!

動産譲渡登記のガラパゴス化

 

今日は久しぶりに仕事のお話を。

 

動産譲渡登記の依頼がありました。

 

5年程まえに処理したことはありましたが、今回久しぶりでしたので、

今現在の動産譲渡の登記制度の内容やその取扱いを勉強してみました。

 

が、あまりにその制度の運用方法がわかりづらいというか、

独特すぎて呆れてしまいました。

一般に独自の世界すぎてわかりづらいことを『ガラパゴス化』と言ったりしますが、

この制度もガラパゴス化が甚だしいです。

 

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動産譲渡登記とは…

 

動産譲渡登記の趣旨は、金融機関においてお金を貸すときに、不動産を担保に

とるときは、抵当権(根抵当権)として登記できるのに、資産価値が認められる

動産に関しては担保にとっても、それを公に公示する手段がなかったので、

企業の資金調達の円滑化を図るという目的で動産譲渡登記制度が平成17年より

開始しました。

 

登記の申請先は、

『東京法務局民事行政部動産登録課』というところのみです。

 

それほど登記の申請件数は多くありません。

平成23年は2135件

平成24年は1554件

平成25年は2282件だそうです。

 

基本的に登記される内容は、

・動産を譲渡する側(一般的にはお金を借りる側)の情報

・動産を譲り受ける側(一般的にはお金を貸す側)の情報

・動産の内容

 

 

オンライン申請はまず無理…

 

私の事務所では、不動産も商業もオンライン申請で対応していますので、

今回の動産譲渡登記もオンラインで申請しようかと考えていましたが、

不動産登記や商業登記とは取扱いが違うらしく、オンライン申請の場合は

全てデータ提供が必要ということでした。

 

不動産登記、商業登記ではオンライン申請時の添付書類は郵送や後日持参

でよい、としているものが、動産登記はそれを認めないと。

 

う~ん、ここでちょっと私としては解せない、附に落ちない。

 

なんで法務局(国)の登記制度が統一的な取扱いをしていないんだ、と。

 

 

書面申請なのに登記事項はデータ提出が必須

 

さらにオンライン申請ができないとなると書面申請の一択しかないわけですが、

その場合は申請書は書面ですが、登記される事項は、データで提出しろ、と。

さらにそのデータはCD-RかCD-RWに入れて提出する、という取扱い。

 

なんだそれ?

書面なら最後まで(全部)書面でいいのに…

法務局で登記の申請内容に手を触れたくないため、登記される事項については

データで出せということ、ですかね。おそらく。

 

 

以前、登記したときは、新しい制度だからこんな面倒くさいやり方なんだな、

これからじょじょに改良されていくんだろうな、と考えていましたが

 

今もほとんど変わりないやり方を続けているようです。

 

 

また、データで提出するものについては、

法務省の法務ページからそのひな型をダウンロードするのですが、

フォルダに5つのファイルがあり、

1、共通事項ファイル 2、譲渡人ファイル 3、譲受人ファイル

4、動産に関するファイル 5、代理人に関するファイル

をそれぞれ準備し、法務省指定の入力方法にしたがって半角全角等の取扱いを

守り入力します。

 

その入力されたデータが形式上、大丈夫かどうか法務省指定のプログラムを

わざわざインストールし、そのプログラムを起動させ、自分が入力したファイル

の入っているフォルダを指定し、チェックをし、エラーがないか確認します。

 

オッケーならそのデータをCDーRまたはCD-RWに入れて提出と流れだと

思うのですが…

なんと、チェックのときはフォルダを指定させチェックするのに、

提出の際は、フォルダごと入れないでください、

入れると登記できない取扱いとのこと。

 

これ、誤ってフォルダごとデータとして提出する人がけっこういるのではないか…

 

さらにフォルダごと提出したとしても、登記官の方でフォルダから出してくれたら

全然問題ないのではないか…

 

次から次へと出てくる附に落ちない点。

 

 

実際、無事登記が完了してくれたら問題ないわけですが、

現在、登記申請中ですのでわかりません。

 

CDへのデータの入れ方が間違えている可能性もあり…。

 

 

海外の金融機関とかからクレームこないのでしょうか?

この一般的でない登記制度は。